ある寒い日の朝の、小さな出来事..

寒空の中、マフラーに手袋..防寒具をたくさん身につけたあたしは、ある人を待っていた。
マフラーは、好きな人が好きな色。気付いてくれるかな..?
ザッザッという靴の音。
その人が曲がり角を曲がるのを確認し、後ろから駆け寄り声をかけた。

「しーらーいーし!おはよっ!」
「お、。おはようさん。いつも早いな。
 図書館で勉強でもしとるんか?」
「え、あー、うん。そんな感じ..。
 白石は朝練?」
「せやな。部活は引退してるから、実際は朝練の手伝いやな。」

へーと相槌を打つものの、そういえばあたし何部に入ってたっけ..?
中3なってから行かなくなったから、忘れた。

 =*=*=*=*=*=
1年前、父親の仕事の都合上あたしは四天宝寺中に編入してきた。1つ上の兄貴は「俺は絶対引っ越さねぇ!」と言い張って、学校の寮に入っている。
元々積極性があるものの押しが弱いあたしは、友達ができるか不安だった。

「自分、見かけん顔やな。編入生か?」

声をかけてくれたのは、白石だった。緊張の糸が切れたのがわかった。
正直言って、一目惚れ。
不思議な髪の色、左腕の包帯..全てが魅力的だった。そのせいか、学校に着くと黄色い声がよく聞こえる。
そんな白石に振り向いてほしくて、一生懸命部活してた。その部活を忘れるなんてな..。

 =*=*=*=*=*=
もう1年経つ。この道で白石に初めて逢って..

「そういえば、髪切った?」

突然白石が切り出した。
確かに、昨日段をつくって髪をすいてもらった。両親は、あたしが言うまで気付かなかったのに..。

「なんでわかったの?」
「俺、髪フェチやから。...関係ないか。」

少し顔が赤らんでる。これって、遠回しの告白?
白石が立ち止まって、あたしのほうに体を向けた。

「.....、正直言って一目惚れでした。俺と、付き合うてください。」


     
(マフラーのこと気付いてくれなかったね)  
(ごめん。ほんまはなんとなく気付いてた)



*背景素材→NOION 様*